●前回のあらすじ
家の引き渡し(決済)の為、早めに家を出発したが電車遅延の為少し遅れて銀行(ローンを借り入れる銀行)に到着。
・司法書士の先生に登記移転済みの説明
・不動産屋さんから家の鍵の受け取り
・不動産屋さんから固定資産税の説明
を受ける。
お金が足りない
〈12時50分〉
さて、次はお金のやり取り。
不動産屋さんに家の代金を支払うんです。本日のメインイベントですね。
やり取りの流れを簡単に説明すると、
まず銀行が僕の口座に貸付金(ローン)の全額を振り込みます。一瞬だけ金持ちになった気分です。
ところがここで大きな問題が発生しました。
と思ったら、決済中の部屋に振込業務の担当の方が入ってきまして。
だから、なんのこっちゃわからない系なんです。
不足してるんだったらそれは銀行側の問題だろ。
実はこの銀行(登場人物が増えてきたからローン銀行としましょう)から借り入れる住宅ローン以外に、他の銀行(諸費用銀行としましょう)から諸費用ローンとして借り入れをしまして。
その額が200万円。
この諸費用ローンについてもまったくわからないことだったので、ほとんどのことは不動産屋さん任せ。僕は不動産屋さんから受け取った書類に必要事項を書き、また不動産屋さんに預けただけです。(Mr.無責任)
その200万円が、ローン銀行の口座に入金されてないということです。
しかし僕にはまだ問題の所在が理解できない。
諸費用銀行の入金漏れか?
(不動産屋さんが)ローンの手続き忘れてた?
とか考えましたが、それも違います。
諸費用銀行の200万円は、僕が日頃メインで使ってる他の銀行(メイン銀行とします)に振り込まれてたんです。
それはもちろん僕が提出した書類に僕がそう書いたからなんですが、それがまずかった。
つまりこういうこと。
住宅購入に関わる借り入れ金は全てローン銀行に集約するべきだったのですが、そんなこととは露知らず。何も知らないので、メイン銀行に200万円を振り込んでもらう手続きをしていたということです。
例えばローン総額4000万円とし、ローン銀行から3800万円の借入、諸費用銀行から200万円の借入の場合、決済をしているローン銀行の口座に4000万円を集約しそこから家のお金を不動産屋さんの口座に払っていくのです。
ちょっとお茶でも飲んだほうがいい。
なんかすみませんでしたね。僕のせいですよね。申し訳ないと思います。
でも一言だけ言い訳をさせてもらえませんか。
事前に教えといてくれたら助かりました。というのが本音です。
しかし、こっちは家を買うこともローンを組むことも初めてで要領がまったくわかりません。
資金を一ヵ所に集めてそこから一気に支払い(振込)するなんてね。
財布がない
〈13時00分〉
本日は年度末日。
時間的に余裕がないので言い訳はこのくらいにして、目の前で起こってること『 200万円の残高不足』を解消しなければなりません。
解消の方法はもちろん、メイン銀行に振り込まれた200万円をローン銀行の口座に移します。
幸いメイン銀行の支店は道をはさんだ向かいにあります。
しかし・・・。
ここで青ざめるような事実が発覚しました。
あのですね。
そこにあるはずのものがナイんですよ。
絶対に必要なアイツがナイ。
事実を受け止め、それによる影響の大きさを把握するまで1分程かかりました。
なんとかなるんとちゃうか、とか意味不明な言葉を口走りながらもいっぱい考え、頭を整理し現実を受け止めました。
なんとかなるわけがないんです。
1日に引き出せる上限額は50万や100万などと決まってるので、ATMだけで200万は無理です。
しかし身分を証明できるような書はすべて財布の中。
財布を忘れたことなど今まで1度もありません。繰り返しですが1度もありません。
神様にもし胸ぐらというものがあるのなら、この手で掴みかかりたい。
いや、
神様が悪いわけではない。
これは僕の日頃の行いが良くないからここで一気にバーンと来たんですよね。そんな感じがする。
確かに僕が神様でも僕みたいなモンがいたらそうするんだと思う。
ここらへんでそろそろ本気を出そしたほうが良さそうです。
財布を取りに
〈13時10分〉
さてどうするか。
〈13時20分〉
タイムリミットは15時、もう時間がありません。
こうなったら身分証明書を手に入れるために財布を取りに帰るしかありません。
しかし、今日は電車なので順調に行ってもここから家までは45~50分。
家で財布を確保してから最寄り駅近くのメイン銀行までだと駆け足で10分。
メイン銀行で振込手続きをしローン銀行に(電信扱いで)振り込む。
そもそも電信扱いが何時まで有効なのかも明確じゃないので微妙です。
運転も不動産屋さんです。
車だと順調にいけば家まで25分。
家から最寄り駅近くのメイン銀行までは5分と時間的な余裕が生まれるし、なにより運転と銀行手続きなどに長けてる不動産屋さんが同行するとあれば、万が一の不測の事態も乗り越えられる可能性が高い。考えてる時間ももったいないのでこの作戦で決定。
即出発です。
〈13時25分〉
ここからの行動は僕と不動産屋さんの二人。
妻と息子を銀行に残し、メイン銀行のキャッシュカードと銀行印を持ったのを確認し車までダッシュ。
車に乗ったあとは、焦ったところで大きな時間的改善は期待できませんので安全運転です。
車内では世間話のほか、今日の決済に間に合わなかった場合の具合の悪さを不動産屋さんが教えてくれました。
・不動産屋さんの売上
今年度内で検収(売上計上)できたはずの売上がなくなりますので決算に影響します。コストだけがかかり売上が計上されない。会社としては大きな問題です。
この決済のタイミングで他の銀行から不動産屋さんが借り入れていたお金や取引先に立て替えてもらっていたお金もあったようで、その支払いも滞る。「今日振り込むって言ったよね?」となり会社の信用問題です。もしかしたら振込遅れだけじゃなく、会社によってはその振込がされないために資金繰りに大きな影響を及ぼすかもしれない。悪影響としてはここが一番大きいでしょうか。
役所手続き関係で不都合が出てくるような話もあったような気がします。
ちょっと記憶が薄く内容が定かではないので詳細はかけませんが、所有権の移転だとかを3月31日で処理しているにも関わらず、そうならないからやり直しなどが必要といったところでしょうか。税金の面でも影響が出そうです。
とりあえず、本日中に決済処理が終わらなければかなり大きな影響がある。
ここまでくると、何が起こっているのかが僕にもわかり始めました。
すみませんね。財布を忘れたばかりに。
〈13時50分〉
家に到着!
財布がありました。
これほどの悲劇も珍しい。という意味で逆に面白かったかもしれません。
おわり。