あのですね、
知らない土地に例えば旅行や仕事で行くでしょ。
交通機関が遅延したり道路が混んでたりで予定がくるい、夜の10時とかにやっとホテルに着く事たまにあるんです。もう腹ペコだしヘトヘト。
一刻も早くこのガラガラと手荷物、上着をぶん投げたい状態ですね。
基本的には飲み食いするだけで疲れが吹き飛ぶ酒呑みクソ野郎なんですが、その時間になるとホテルのレストランなんかは既に閉店してる事が多く、田舎なんかだと近くに飲食店やコンビニなどがないのはよくある話。
踏んだり蹴ったりや。
俺だけ扱いヒドイくねーか。
神様、おい。
とりあえず夜空に向かって静かにキレておくわけですが、
このシチュエーション、本当はなんか好きなんですけど。
心のどこかでテンションちょいアがる。
そして高鳴るテンションを隠しつつ「俺には何も無い、味方もいない」という切羽ツマリ顔でフロントに行くんです。
これは少しでも可哀想と思ってもらえるかもしれない用です。
「あの・・・(ヨボヨボ)、近くに居酒屋とかありませんか。コンビニやスーパーはないですか。」
さあ、どんな答えを聞かせてくれるのか。
自分の運に(根拠のない)自信がある時はワクワクがとまりません。
第一希望はもちろん
「徒歩5分の所に、ホテルの従業員達もよく行く居酒屋がありますよ。」
素敵な言葉ですね。この日本語好き。
世界一幸せ。
アリガトウが自然に溢れる。
「徒歩5分なんてそんな贅沢な!10分でいいですよ」と意味不明な謙虚な心も芽生える。
こういう場合、教えてくれた人がすごく良い人に見えるから不思議です。
とりあえず、たった今僕は地獄から生還致しました。
ただいま。
いただきます。
かんぱい。
次点は「コンビニありますよ」
最悪の状況からするとこれは天国。
せっかくの旅先でコンビニ飯とか笑っちゃいますが、あるだけマシです。
(ただし、酒が売っていない場合はないのと同じ。僕にとってはそうなります。)
その貴重なありがたいコンビニも、コンビニ時代本格到来前にあったような古い店構えで品揃えも頼りない感じがイイ。ワゴンセールとかあったら楽しい。
日頃コンビニで晩御飯は買いませんので、ここは非日常を満喫しようと心を決めます。
定価のビールを躊躇なく何本もカゴに放り込み、ご飯とも言えない焼き鳥、これはご馳走。
何の貝だよといった得体の知れないものなど普段は手にすらしないモノを値段も見ずに買う。
お菓子もいっぱい。
普段は10円でも節約しようと生活しているので罪悪感すら感じるお金の使い方です。
そして少しでもヒモジイ気持ちや不安から遠ざかるようにホテルでむさぼる。
なんか窮地から生還しようと必死です。
大事なのはワクワク
「タクシーを使えば」
というのもありますが、これはあまり面白くない。
それを言い出したら日本全国大半の場所でそうなります。勝ちが確定的でワクワクしません。
レベル48でローレシアから始まるドラクエⅡを思い出す。
1面からフル装備のグラディウスを思い出す。
「2」のカードが手元に二枚残った時の大富豪。これはちょっと違うか。
やっぱタクシーを呼び出してでも買い出しにいくか。
いや。
ホテルの土産物屋やレストランを一瞬だけ開けてもらえるのであれば、そこにある食べものやビールを買わせてもらうというのも面白そうです。可能であれば。
窮地に陥り追い詰められた状態からギリギリで勝つのがいいんです。
どうやったら窮地から抜け出せるか、満たされるかと考えるのが楽しいんです。
話はそれだけです。
おわり。