●前回までのあらすじ
家の引き渡し(決済)の為、早めに家を出発したが電車遅延の為少し遅れて銀行(ローンを借り入れる銀行)に到着。
・司法書士の先生に登記移転済みの説明
・不動産屋さんから家の鍵の受け取り
・不動産屋さんから固定資産税の説明
を受ける。
あとは家の代金の支払いを残すのみだったが、手違いにより200万円が違う口座(メイン銀行)にあることが判明し決済手続きは一旦中止。
メイン銀行からローン銀行にお金を移そう・・・と思ったら財布がない!
家に忘れてきた・・・。
急いで家に取りに帰り身分証明書を得、200万円を移すべく最寄のメイン銀行へ向かう。
タイムリミットの15時まであと1時間。
振込できない
〈14時00分〉
最寄り駅近くのメイン銀行に到着!
幸い、窓口はさほど混んでません。
振込依頼用紙を秒速で記載し順番を待ちます。
こういう時の時間は何故こんなに長く感じるんでしょ。人の一挙手一投足が気になる。
まぁここで焦ってもしょうがない。振込が完了すればひとまずは安心です。
ローン銀行で待ってる妻に状況の連絡をしておこうかとスマホをカバンから出そうとした時、銀行の外で待ってた不動産屋さんが慌てた顔でやってきました。
「まだ振り込んでませんよね。ダメです、さっき『今から電信扱い(振込)しても本日の処理に間に合わない』とローン銀行から連絡がありました。」
また問題発生か。
いや、これは問題発生というか時間的な事。こうなる運命だったんです。
今からローン銀行に200万円を振り込んでも、本日中の扱いとならずに明日の着金になってしまうという事だと思います。
少し間に合わなかったのか。
振込手続きは中止です。
これはもうこれで良かったと思います。
だって振込手続き完了後に「本日中の処理はできないですよ」となれば、たぶんそこで終わりますから。不動産屋さんとローン銀行の迅速な連携のおかげです。
現金200万円引き出し!
〈14時10分〉
さてどうするか。
残された手段は、直接ローン銀行に行って現金200万円をぶっこむしかありません。
そうと決まれば光速で依頼用紙を窓口に提出。
待つこと5分、やっと会えた200万円。
確認の為に枚数を数える機械に置いてババババと数えてるのを見せてくれてるんですが、今はそんなことどうでもいい。200万円あるのはわかってる。ありがとう。
やっと札束を受け取り大切に封筒へ入れ鞄にナイナイし、メイン銀行をあとにしました。
〈14時20分〉
タイムリミットまで、あと40分。
いや、入金後に不動産屋さんへ支払い(振込)をしてもらわなくてはいけないから、残された時間は正味30分くらいか。
そしてお約束の問題が発覚。
ローン銀行までは車で25分はかかります。
道路状況によってはそれ以上時間がかかる。
この状況ではローン銀行まで帰るという選択肢は最初からなく、ここから一番近いローン銀行の支店を探して入金するつもりでした。
しかし調べてみると、一番近い支店でも結局は同じくらい離れた所にしかないことが判明。
つまり決済手続きしてるローン銀行と他のローン銀行支店、どちらに行っても15時(10分前)までの入金は難しい。
今年で40歳になりましたが、『ルーラ』が使えたらいいのにと本気で思ったんですけどね、本気で。
ピカピカの実で光速移動もいいな。
打つ手打つ手が潰される感じがする。しかもルーラ使えないし。
どこまで我々に試練を与えて下さるのでしょうか。神は。『我は、神なり』とかいってないで助けてくれ。
でも試練という壁は、それを乗り越えられる人間にしか与えられないんです。
僕はその壁を乗り越えられる人間ということです。(カッコいいこと言ったった。)
起死回生の200万円投入
〈14時25分〉
このままじっとしていてもはじまらないので、とりあえず決済手続きをしてる方のローン銀行に向けて車を走らせます。
程なくすると、ローン銀行サイドから指示がとんできました。
「コンビニのATMから入金せよ。」
!!
そうです、その手があるんです。
焦っていたのか気付きませんでした。
コンビニはそこら辺にありますが、ここはさすが不動産屋さん。
「ローン銀行ならサークルK(現ファミマ)のATMからは手数料がかからないはずです。」
頼りになります。
サークルK。
関西での店舗数は少し心細いですが、そこはこの辺りに住んでる僕。
「サークルKなら山幹(山手幹線通り)入ってすぐの交差点にあったはず。」
3者共なかなかカッコいいじゃないですか。
〈14時30分〉
サークルK到着!
ローン銀行のキャッシュカードと現金200万円をもってATMに向かいました。
ここではちょっとした試練。
一回の入金は20万円までのようです。
つまり200万円だったら最低でも10回の入金作業が必要になります。急いでる時のこれはちょっとした試練です。
この入金作業、結構手間取りました。
歳のせいか最近手の水分が少なく指がパサパサでピン札が数えにくいし、現金200万を置く場所がないから投入の度にカバンへ入れ、また出して数えるのがかなり手間。時間がかかります。
ATMのレスポンス自体が遅めだったこともあり、一回の入金作業につき1分以上を費やしました。
〈14時45分〉
15分ほどかけて200万円の入金が完了!
銀行サイドでは並行して不動産屋さん側への振込処理をしていたらしく、入金の都度表示される残高が増えずに減っていってました。通常であれば恐ろしい現象です。まぁ200万円の完投を待ってからじゃ間に合わないかもしれないですからね。
喜びも束の間
皆さん本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
僕の20年に1度のミスを発端にかなりバタつかせてしまい、本当に申し訳がないと思います。対応感謝します。今回の件、僕1人だったら乗り越えられなかったでしょう。
たぶん財布をもってメイン銀行で振込はしたけど(振込処理が明日になるので)間に合わなかった。で終わってた気がする。
入金完了後、車に戻ると車内では不動産屋さんが缶コーヒーを買って「お疲れ様でした。タバコもどうぞ。一服しましょう」と待っててくれました。
もしかしたらこの人が神様なんでしょうか。
〈14時50分〉
ひと仕事を終えた車内はリラックスモード。
新居に引っ越したあとの過ごし方や不動産屋さんの身の上話などをし、マッタリと帰路につきます。
が、それも束の間。
まだ終わってませんでした。
不動産屋さんの携帯に銀行サイドから連絡がありました。
「4万円足りない!!」
もうね、「なぬー」としか言えないです。
あれだけ大きな「なぬー」が出たのは、マイク・タイソンがぶっ倒された1990年のあの瞬間とか「こここ、こ、子供できたんですけどーーー」と妻から聞かされた2年前の早朝5時くらいじゃないですかね。
残り2分
なにこのラスボス的な粘り、こわい。
あの時「はい、ちょうど200万足りないです」と銀行の担当者は言ってたはず。
少なくとも僕にはそう聞こえた。ちょうどと。
メイン銀行が引き出し額を間違えるなんて考え難いし。20万円の10回入金した僕自身も確認してる。
振込総額がなぜか4万円多くなった?
もともと204万円だった?
でもそれだったらローンの金額に対する不動産代金が・・・。
わからなくなってきましたが、事実として4万円が足りていない。足りてないことが事実。
ここで考えてる時間はありませんでした。
即刻、再入金です。
〈14時54分〉
そこから一番近いコンビニに到着!
もうサークルKだとか手数料がどうとか考えてる余裕はありません。
まぁ結果的にサークルKでしたが。サークルKは意外と多い。
〈14時55分〉
15時まであと5分。
まず、現金4万円の持ち合わせがなかったのでメイン銀行の口座から5万円を引き出します。信じられない事に若干手が震えて、暗証番号を一度間違えました。
「ククク・・・意外と臆病だな、 鷲 巣 巌。」
アカギのセリフが頭をよぎります。
〈14時56分〉
そして、5万円をローン銀行に即入金。
1万円多く入金したのは不足額が4万円ジャストとは限らないのではと思ったんです。
銀行サイドも明らかに焦ってますし、銀行への信頼度が例の件で0.5%減った為、もしかしたら不足額は40250円とか端数があるかもしれない。
この局面、もうあとがありません。土壇場です。
「まだ足りない」という事になればその時点でおわり。
ゴール間近なんです。
ここまできて「あと250円足りませんでした」でゲームオーバーになるのだけはイヤ。
これが本当に最後の一手です。
〈14時57分〉
1分1秒を争います。
不動産屋さんがリアルタイムで銀行サイドに入金完了を連絡してくれてます。
〈14時58分〉
銀行サイドとの電話は繋がったままで結果の連絡が入り、不動産屋さんは僕に向けて右手でOKのサインをしました。
最後の(不動産屋さんへの)振込が完了したようです。
・・・無事に終わった。
残り時間、2分でした。
最後に
あとで聞いた話ですが、4万円足りないことが発覚した時、僕たちが入金に向けて行動してるのと並行し、銀行では妻にも話がいったようです。
「奥さん、詳しい事情は後で説明しますが4万円足りません。今から現金で4万円をお預かりすること可能ですか?」
残念ながら妻の手持ちは2万円ほどだったわけですが。
振込先口座の勘違いから始まり、財布を忘れて200万円を引き出せず、財布を取りに帰ったのはいいけど時間切れで振込できず、入金に走り回り入金&振込完了は決済リミット2分前。
改めて、僕のミスにより皆様にはほんとうにご迷惑をかけてしまいましたが、おかげ様で2分を残し、無事決済を完了させることができました。
この怒濤の2時間、今後忘れる事はない。
おわり。