僕はフリーでシステムエンジニアの仕事をしておりまして、今まで人並みにではありますが数々の現場で色々な人たちと仕事をしてきました。
現場ではスーパーマンのような人もいれば、手際や要領が悪く、評価が低い人やなかなか成果に繋がらない人達も見てきましたが、後者の人というのはイロイロな面の予想をしないというかできないというか、下手クソなんですよね。僕の個人的な見解ですが。
突っ込まれ所の予想
「なぜこうなるの。」「この場合はどうなるの。」など、突っ込まれそうな箇所とその突っ込みの内容を予想しないので、事前に理論武装や事実の裏付けができないんですね。あまり深く考えず自分が思った事をそのまま表現してしまいます。
そして、調査分析のやり直しや資料の見直しが大いに発生し、その影響で生産性が低下したり進捗の遅れが発生します。
こういう人って、ツメが甘いとか一人で仕事をさせるのが不安、任せきれないという印象をもたれちゃって、それがこの人の評価になります。
評価が芳しくないだけで終わるならまだマシ。
その遅れを挽回しようと焦った形で進めたり、資料や調査結果の矛盾や不備の辻褄を無理にあわせようとし、後続のタスクの品質自体が低下する。
という悪循環を招いてしまうんですよ。
また別の例として、言い訳の出来ない事をよくしてしまいますよね。「なんでこうなるの?」に対し、「何となく」や「参考にしたものがそうなってたから」など、到底納得できない回答をしてしまうんですね。
仕事が出来る人は「このような事を言ったら(または書いたら)、多分こんな事を聞かれるだろうから、ここはもっと掘り下げて抑えておこう」だとか、「こう回答すれば納得するはず。いや、あの人はここにもこだわりそうだから代替案を考えておこう。」などあらゆる側面から自分の成果物や理論を客観的に見れるんですよ。また、突っ込まれたら言い訳のひとつもできないような事はそもそもしません。
つまり、今後起こり得る事をイメージするんです。それはそれは念入りに。
リスクの予想
どのような業種であっても、提案の段階やプロジェクトの初期段階でスケジュールを立てるはずですが、その際はリスクを勘案しながら、線を引くと思います。
炎上する案件やプロジェクトというのは、ほとんどにおいてこのスケジューリングの段階でリスク認識が欠落していたりかなり甘く見込んでしまっていることに起因します。
なのでタスクやフェーズを進めていくにつれてあらたなリスクや上流で発生したリスクの亜流が発生し、日に日にスケジュールの遅延が大きく目立ってきます。
そうなったら遅延を取り戻す常套手段として、人海戦術で人件費(コスト)を大量投入するんですね。
まぁ闇雲に人だけを投入しても作業指示や作業方法を付きっきりで教えなければならなかったり、人の管理作業が増えたりするので、結局は多少の挽回は出来ても費用対効果の面では有効な場合が少ないです。経験上で。なんか忙しそうな感じがするだけ。
お客さんに、これだけの人員を投入して頑張ってますアピールにつながる面もありますが、こうなった段階でプロジェクトチームとしては既に疲弊してますので、プロジェクト自体はピリピリモードでメンバーの目からは面白くない光線が出ているんです。
(ちょっと話はそれますが、そんなんしてもメンバーやビジネスパートナーが疲弊するだけの場合が多い。なので、そうなってしまったら遅延のもっともな原因を考えそれをひっさげてですね、運用的に例えば1か月遅らせれる機能の納期を後にしてもらえるように交渉したりするほうがいいんです。企業イメージもそのほうがいいですよ。「あの会社のあの案件は地獄だった」とか「人を人と思ってないような感じ」とか、後々のその人の武勇伝としてなんとなく引き継がれますな。)
またリスク認識が甘かったがために見積もりも過少(そのリスク分の費用が見積もり上のどこにも計上されていない)なので、終わってみたら想定外人件費の発生と見積不足のダブルパンチで大赤字、ということになります。
出来る人は「こんなことが起こったらどうしよう」や「この部分は今のうちに大前提として必ず抑えておこう」といったリスク認識やリスク管理に対してかなりシビアな考えをもってます。上流の大切さを心得えてます。
そして、「最悪の場合はこの程度の工期、工数が必要だ」という最悪からの逆算で考える事が有効であることを知ってます。
ここから考え始めることにより、リスクの種類や数が把握しやすくなり、大前提や案件着手前に必ず抑えておかなければならない事が明確にできるので予想外で発生するリスクが少ないです。
また、予想外リスクが多少発生したとしても、その分の費用や工数をどこかのタスクに紛れ込ませて計上してるので、プロジェクトを炎上させることなく終焉まで導きます。
例えるなら、みちびき地蔵様のようです。知ってますか。みちびき地蔵様を。
それは僕の実家の墓地に鎮座されてるお地蔵様です。
コストの予想
仕事上、もっと言うとこの社会では自分の周りで出入りしている現金や請求書、発注書や受注書など、目で見て認識できる事だけでお金が動いているわけではないです。
例えば、会社の同僚や上司に時間をとってもらうだけでもその分のコストはかかっとるわけです。
「打ち合わせをしましょう」と言って人を集めたのはいいけど、その打ち合わせの目的を明確にせず時間だけをダラダラと消費したり、何の準備もせず決めるべき事を決めれなかったり。というのは無駄なコストを消費してるという事なんですな。その認識がナイんです。
人の時間は無料じゃありませんよ。
そのような感覚がナイのはコストの予想が出来ていないということになります。
そこら辺のコスト感覚を持てば、自分はもとより回りの人の時間を無駄にすることがなくなりますので、これは仕事の精度や効率、生産性が上がり、それは信頼にも結び付くと言えます。
また別の例をあげると、ダラダラ仕事をして余分な残業代を発生させたり、納期遅延をまねいて余分にプロジェクト予算を食い潰してしまうのもコストに対する意識が欠落しとると考えられます。
仕事の出来る人は、目の前の作業を漠然とこなすだけのただの作業者ではなく、コスト意識をもった経営者や管理者の感覚でもって時間内に終わらせるにはどうしたら良いかを考えて事に取り組みます。
目の前のしょぼい残業代よりも、信頼や自分の時間が大事だということも知っとるんですね。
人の気持ちの予想
仕事を進めていく上では、お客様の意見を聞いたり取引先に要望を伝えたりなど様々な人と交わる機会があります。
終始一人で仕事が完遂する事なんかはほとんどない。
人と交わる上で、喜怒哀楽など表面上の気持ちや感情の先にある「してほいし事」を予想する大切さが理解できない、または理解しようとしない人はあまりいい仕事結果を残したりお客さんやビジネスパートナーとの良好な関係は築けないですよ。
この原理、単純ですよね。
日常の生活でも同じですので、ここであまりごちゃごちゃと言うつもりなしです。
夫婦間でも親子間でも友人間ご近所間でも同じことです。
で、例えばお客さんとの良好な関係が築けると、案件の遂行が円滑になるのはもちろん、いろいろな情報が手に入る場合があります。それは、現在進行中の案件に関連する情報であったり、会社内部でかかえている問題など他の情報だったり。
かかえている問題とやらによってはこちらが提案できる事があるかもしれないし、人を紹介したりされたりするかもしれない。
そうなったら次の仕事やネットワークが生み出されることもあるわけです。
結局は自分に還元される可能性がある。
すなわち「情けは人の為ならず」ちゅうことです。
以上、最近特にイラッときたバカたれが多かったので、なぐり書いてみました。
おわり。